わたしはピエロ。ちょっとかわった赤い毛と大きな赤い鼻のピエロです。わたしは満面に笑みをたたえてサーカスのリングの中をぐるぐるダンスしてまわります。わたしは子どもたちがだいすき。でもある日変なことがおこりました。3歳ぐらいの小さな女の子がリングの中にふらふらとはいってきたのです。女の子はわたしのところにやってきて「わたし、ピエロになりたいの!」というのです。
「お母さんとお父さんはどこにいるの?」とわたしは女の子にききました。「いないの。」という簡単な返事がかえってきました。そして女の子のひとみがうるみました。
「わたしのお母さんになってくれる?」と女の子。
わたしは何と答えていいのかわかりませんでした。何も思いつかないままわたしは「いいわよ。」と答えていました。少女を受け入れたものの、わたしはつねに少女の両親を探し続けました。両親探しを続けたある日のこと、一ぴきの象牙色をしたユニコーンがたずねてきました。
「わたしたちの子どもがどこにいるかごぞんじですか?」と当然のことながらそのユニコーンは気がちがったかのようになりふりかまわず子どもをさがしているようでした。「ユニコーンを見かけたことはないわ。ごめんなさい、お役にたてなくて。」とわたしは答えました。
「あなたはわかっていらっしゃらないようだわ。わたしの子どもは3歳ぐらいの人間で、小さなかわいいえくぼに茶色の短い髪の毛をしているのです。」
ちょうどその時かわいいジェシーがわたしの後ろにかけよってきました。ジェシーこそ、その親をうしなった子どもでした。輝く栗色の髪の毛を見つめながら、わたしはこの子がユニコーンのむすめなのかどうか思いをめぐらせました。ついにわたしの問いに回答がえられたのです。
「ローニィー!」とユニコーンはさけびました。そのさけび声には安堵感が満ちていました。そしてわたしの目前でかわいいジェシー、いいえローニィー、が美しいユニコーンの姿に変身して、お母さんといっしょに太陽に向かって歩きはじめました。
だれも信じてくれないことはわかっていましたが、わたしはみんなにジェシーの両親が見つかったと話ました。でもその両親がユニコーンだったことは誰にも告げはしませんでした。